書籍の内容
福島原発事故から7年半。原発再稼働の動きが急だ。しかし、国民の過半数は原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論は根強い。こうしたなか、世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は、「3つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げ、福島で起きたことの実際を確認する重要な活動を展開している。目次
序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること
- 福島原発事故の現状
- 3つの検証の意義と役割
- 検証総括委員会の機能と役割
- 行政の役割と自治の力
- 今日の科学者・技術者の役割
1 新潟県検証委員会の活動の意味
- 新潟における「市民と野党の共闘」と県政
- 柏崎刈羽原発6・7号機、新規制基準に「適合」
- 「3つの検証」の前史
- 「3つの検証」は米山知事で具体化、花角知事は「継承」
- 5 避難計画と避難訓練をめぐって─新潟県議会での最近の論戦
2 技術委員会の検証─明らかにしてきたことと引き続く課題
- 県技術委員会の設置と改組・充実
- 技術委員会による福島原発事故の検証
- 未解明の検証課題─原子力防災上重要な緊急時対応支援システムのサブシステムについて
3 原発事故による避難生活の現状と課題─新潟県における検証作業から
- はじめに
- 避難生活の現状と課題
- 「生活への影響」をどう検証するか
- むすび
4 原子力災害がもたらした避難生活の実態
- はじめに
- 避難指示解除の進む被災地ふくしま
- 調査にみる避難生活の実態
- 原子力災害の影響による二次的被害
- おわりに
5 避難計画をめぐって
- 避難計画の位置づけ
- 福島原発事故の避難実態がなげかけたもの
- 自治体は避難計画をどう考えていくべきか
- 新潟県原発検証委員会への期待
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質
- はじめに
- 新潟県における原子力安全協定の概要と経緯
- 安全協定の法的性質
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済─崩壊した「原発の地域経済効果」神話を超えて
- はじめに
- 柏崎市の人口減少・少子高齢化への対策と原発
- 柏崎市 地域エネルギービジョン
- 柏崎市の商工業─概況
- 柏崎における原発の「地域経済効果」の実際
- 原発政策と地方自治
- 政府のエネルギー政策で、柏崎市の発展はあるか
- まとめにかえて─柏崎市の人口減少問題の解決と地域発展のために