TPP・FTAに組み込まれている“投資家の自由度最優先の仕組み”は公共政策をどう変えるか。
書籍の内容
米韓FTAをはじめとする世界のFTAで起きている現実を読み解き、メガFTAが国民の暮らしや公共サービス・公共政策に何を投げかけるかを検討する。さらに、その動きにNOをつきつける欧州自治体の取組みを紹介する。
目次
●第Ⅰ部 メガFTA の政治と経済
第1 章 メガFTA の現実
─メガFTA の行方とあるべき貿易ルールへの模索─
- 1 TPP の崩壊
- 2 トランプ政権下の通商交渉と日本に迫る危機
- 3 日本に迫る危機─貿易だけでなくすべてが標的に─
- 4 メガFTA 終焉の始まり
- 5 妥結ができない理由
- 6 知的財産分野での「農民の種子の権利」への危機
- 7 電子商取引─人権としての個人情報か、企業のためのビッグデータか─
- 8 ISDS と途上国
- 9 公共サービスの市場化への警戒─EU 市民社会─
- 10 自由貿易協定・多国籍企業にNO を突き付ける世界の自治体の力
- 11 持続可能で公正な貿易をめざす国際市民社会の取り組み
第2 章 米韓FTA その現実
- 1 米韓FTA の仕組み
- 2 米韓FTA に伴う法律の改正
- 3 米韓FTA 発効後の韓国社会
第3 章 TPP・FTA 推進の政治経済学と地方自治
- 1 第二次安倍政権とTPP
- 2 輸出で「稼ぐ力」をつければ日本経済は発展するのか
- 3 TPP・FTA と地域経済・地方自治体
- 4 国民主権・国家主権・地方自治権を侵害する憲法違反の通商協定
- 5 自治体が中心となって地域経済・地域社会を守るバリアづくりを
●第Ⅱ部 TPP・FTA と国民主権・公共サービス
第4 章 国民・住民主権を侵害するISDS 条項
- 1 ISDS とは何か
- 2 仲裁事例に見るISDS の問題性
- 3 SDS 条項の問題点
- 4 おわりに─ISDS からICS へ(EU の試み)─
第5 章 インフラ・国有企業の解体とビジネス化
─TPP 国有企業章についてあらためて考える─
- 1 TPP 国有企業章の特徴と狙い
- 2 TPP の国有(公有)企業とは何か、どんなものがあるのか
- 3 国有企業章についての政府の説明で充分なのか
- 4 その他の条項について
- 5 日欧EPA を公共調達・公有企業から考える
- 6 最後に─あらためて国有企業という事業形態を考える─
第6 章 経済連携協定で狙われる年金・共済・生命保険
- 1 GATS と金融サービス貿易の自由化
- 2 TPP における金融サービス自由化の特徴
- 3 日本の金融消費者にとってのTPP の危険性
第7 章 消費者安全行政の危機
- 1 日米二国間協議と食品安全行政の規制緩和
- 2 日本の食品安全行政の後退
- 3 TPP のルールから見えてくるもの
- 4 外交政策、政府の姿勢が自治体の行政に悪影響を与える
第8 章 国民の生命を守る行政の危機
- 1 国民皆保険制度の屋台骨が揺らぐ
- 2 医療・介護サービスのビジネス化による影響
第9 章 自由貿易協定と労働
- 1 TPP 協定の労働についての取決め
- 2 日本政府等の見解と問題点
- 3 TPP 労働分野とILO
- 4 労働法令についてのさらなる規制緩和圧力
- 5 産業の受ける影響は労働者を直撃
- 6 締約国間の労働条件引き下げ競争
- 7 貿易自由化への対処の試み